インドの高額紙幣廃止 その狙いは何か

インドのモディ政権は11月8日夜にテレビで演説し「きょう深夜から2紙幣は使えなくなる」と宣言。
その時点で猶予は4時間。
高額2紙幣の使用禁止を発表しました。同国内で流通する紙幣のうち、金額ベースで9割弱に当たる230億枚を使えなくする措置で、国民生活は大混乱しております。

年7%を超す足元の高い経済成長を揺るがしかねない賭け(廃貨)に踏み切った狙いはどこにあるのでしょうか。

富裕層の隠し資産(脱税で溜め込んだ現金)をあぶり出すのが狙いとされてます。
突然の発表は不正者に逃れる余地を与えないためにやむを得ないのかもしれません。

銀行口座を介さない不正資金は国内総生産(GDP、2015年は約230兆円)の20〜40%に上るとされ、2紙幣が有効なうちに金や宝飾品を買い込む動きが相次ぎました。
11月10日から12月30日に銀行か郵便局の口座に預け入れない限り「紙くずになる」と表明しました。
思惑通りに現金を銀行に持ち込めば、所得の源泉を聞かれ不正が露見することでしょう。
使用不可となった2紙幣は、身分証と共に銀行窓口に持ち込めば、百ルピー札や新紙幣である二千ルピー札に替えられます。

混乱に怒り心頭かと思いきや、庶民は冷静で今回の廃貨措置に関して賛成多数が多いようです。
背景にはインド国内の富の偏在があり、成人人口の3%の富裕層が同国の家計資産の2/3を握るとの分析もあります。

モディ首相は、「焼き殺されても(廃貨を)やめない」「腐敗撲滅の計画はまだ他にもある」と強調。
涙混じりの声で「私と共に50日間耐えてほしい」と国民に理解を求めております。

約束した50日間で富裕層の不正蓄財をあぶり出し、事態を沈静化できなければ、庶民の支持も急速に冷めてしまうかもしれません。

インド

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