そもそもロングインタビューって何なの? その10

前回までのお話は・・・。

マー君は、お風呂上がりのタオルの使い方で奥様と一悶着ありました。
彼は「怒っていた」と発言しています。

オーダーを取りに来てくれないカフェの話を振った時も、
マー君は「そりゃ怒りますよ」と発言していました。

そこで、同じ質問を繰り返しました。
「マー君は、何故怒ったのか?」と。

もう一つ。
別の角度からのお願いもしました。
「怒りの感情のもう少し下にある、マー君の静かな心の声を聞かせて欲しい」と。

そうしたら、長考の後、彼は静かにこう返してくれました。
「俺の事を、もう少し大切にしてもらえないか」

さて、今日はこの続きです。

そもそもロングインタビューって何なの? その10

「怒り」に限ったことではありませんが、「感情を表現する言葉」って、これ結構難しいですよね。
「そもそも人は何故怒るのかなんて、あまり考えたことがない」と、マー君も言ってます。

マー君は、最初、「誰だってそうでしょ」「誰だって怒るでしょ」と、人が持つ共通感覚的な部分に訴えて、自分の感情を分かってもらおうとしていました。

日常的なコミュニケーションであれば、

「そりゃ、そうだ」
「分かる、分かる」
「君の気持ちは、よく分かる」

という返答で、大体収まる所へ収まる事が多いようです。

ですが、ロングインタビューは、

「本当に、そりゃ、そうなんですか?」
「分かりません。よく、分かりません」
「君の気持ちは、よく、分かりません」

から、スタートしていきます。

「怒り」という言葉は「ビッグワード」だからです。

「ビッグワード」って、はじめて出てきますか?
何処かで説明していませんか?

ごめんなさい。
説明していませんでした。
これから説明します。

具体的な例をあげて説明しましょう。

例えば、
「彼はどんな人なの?」
「個性的な人だよ」

この「個性的」。
これビッグワードです。
含まれている意味内容があまりに広すぎて、よく分からない。
発した人が「個性的」という言葉に込めた意味内容と、
受け取った人が考えている意味内容が、果たしてどれ位同じなのか、また、どれ位ずれているのか、それも全然分かりません。
そんな言葉。それがビッグワードです。

そう考えると、いろいろ出てくるでしょ。
例えば、国際性だとか、個性だとか、感性だとか。

「あの人、いい人ですよ」の「いい人」もビッグワードですね。
勿論、日常的に「それはビッグワードで、何だかよく分からない」と突っかかる人はいないと思います。
そんな事してたら嫌われるだけですよ(笑)。

でも、ロングインタビューでは、
「いい人」って、それだけ言われても何のことだかよく分かりませんねと、話を続けていきます。
ここから話は俄然面白くなるわけです。

ビッグワードは、ロングインタビューのオリジナルではありません。
苅谷先生のお書きになった「知的複眼思考法」の中から拝借しています。

今日はこの辺で。
続きは、次回。

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