今、何が欲しいですか?(前半)
ロングインタビューが次のような展開になったことがあります。
※Qはインタビューアの私。Aはクライアント氏です。
Q:今、何が欲しいと思っていらっしゃいますか?
A:フェラーリですね。
Q:今、何が欲しいと思っていますか?
A:え? 聞こませんでしたか? フェラーリが欲しいと言いましたよ。
Q:もう一度、伺いますね。今、何を欲しいと思っていますか?
目の前の彼は、少し怪訝な顔をしてこちらを眺めています。
何となく落ち着かない時間が流れています。
A:僕は、フェラーリを欲しがっているのではないと言われるのですか?
Q:質問を少し変えましょうか。そのフェラーリ、お幾らですか?
A:4400万です。
Q:では、今、この道路の向かいのカーディーラーに、その目的のフェラーリが60万で売りに出ていたとします。もちろん、何の問題もない新車のフェラーリです。買いに行きますか?
A:60万ですか。買わない、と思います。
Q:どうしてですか? 全く問題のない新車のフェラーリですよ。しかも格安。掘り出し物もいいところだと思うのですが。
A:でも、60万でしょ。
Q:ええ。60万です。
A:辞めときます。
Q:不思議ですね。4400万出さないと手に入らないフェラーリが60万で手に入るのに、どうして買いにいかないのでしょうか?
A:4400万のフェラーリだから買いたいのですよ。
Q:60万のフェラーリじゃダメだと。
A:そうです。ダメです。
Q:4400万のフェラーリなら欲しいけど60万のフェラーリは欲しくないということですね。
A:はい。60万のフェラーリ。あまり欲しいという気が起こってきません。
Q:不思議ですねぇ。フェラーリが欲しいのであれば、それがいくらであっても構わないはずでしょ。ましてや格安で手に入るとしたら、これを逃す手はない。
A:でも、ダメです。
Q:ダメですか。
A:ダメです。
今日はこの辺で。
また、次回。
このロングインタビューはフィクションであり、実在する人物・団体等とは関係がありません。