そもそもロングインタビューって何なの? その11
ビッグワードとは何か?というお話でした。
苅谷剛彦先生の「知的複眼思考法(講談社+α文庫)」の243ページには、こうあります。
少し長くなりますが引用させて頂きますね。
学生たちと議論していると、しばしば、抽象的な概念をよくこなれないまま使っている例に出会う。
「構造」とか「個性」」とか「人間形成」とか「権力」といったビッグワード(概念)が典型的な例である。
中略
こうしたキーワードは、容易にマジックワード(魔法のことば)に変わる。
つまり、魔法の呪文のように、人々の考えを止めてしまう魔力を持っているのだ。
苅谷先生は、特に「抽象的な概念の言葉」をビッグワードとされていますが、
僕は、これをもっと広範囲に拡大して使っています。
ロングインタビューの場面でお話を伺っていると、日常的に誰もが使うやさしい言葉の中にも、
ビッグワードは頻繁に登場してきます。
ビッグワードが登場する時、その言葉の持つ意味内容やら定義やらは、お互いに確認されていません。
相互確認をしないまま、自分の感じた想いのまま、ドンドン流通させちゃう言葉。
それが、ビッグワードです。
苅谷先生が言われるように、「ビッグワードは思考停止の言葉」。
ですので、ロングインタビューの場面でビッグワードが登場すると、
僕は「チャンス到来」と小躍りしてしまいます。
今まで、そこから先をあまり考えた事がないはずですから、ここは宝の山だと思うわけです。
ちょっと意地悪に言いますと、そこから先をあまり考えたくない時、
人はビッグワードを使って何だか上手くまとめようとするんじゃないでしょうか(笑)。
少し前のブログで、「言語化できないというのは思考停止のことである」という、
僕の大先輩の言葉を紹介しました。
「ビッグワードも思考停止の言葉」。
ロングインタビューは、これらの「思考停止」を一つの拠り所として、貴君を探索しようという試みです。
ネタをバラしますが、
苅谷先生がお書きになった「知的複眼思考法」をインタビュー形式のトレーニングとして落とし込めないかと考えたのが、ロングインタビューの始まりです。
僕は勝手に、苅谷先生を僕のお師匠さんと心の中で呼ばせていただいています。
「弟子にした覚えはない」と言われること必至ですが(笑)。
本を読みながら、
「師匠、ここはどういう解釈をすればいいのですか?」などと、
何処にいらっしゃるのか皆目見当もつかない師匠に、尋ねたりしております。
でも、想いは叶うものなんですねぇ。
昨年の暮、12月28日の事です。
ひょんなことから、苅谷先生にお会いする機会が訪れました。
その時、ボロボロに読み込んだ「知的複眼思考法」の裏表紙に、先生のサインを頂きました。
そらぁ、感激しましたがなぁ。
今日はこの辺で。
続きは次回。