アメリカの1年ぶりの利上げ
米連邦準備理事会(FRB)は1年ぶりの利上げ(利上げ幅0.25%)を決めました。
今年はもう少し上がるとの予測でしたが、
1月の中国発の世界同時株安、
6月の英国の欧州連合(EU)離脱決定、
11月の米大統領選でのトランプ氏勝利
など市場の混乱が相次ぎ、利上げシナリオは凍結が続いておりました。
イエレン氏は利上げプロセスを「金融政策の正常化」と呼びます。FRBが金利を上げ下げして景気を差配する金融政策を取り戻したいという考えがあるようです。
前回の利上げ局面(04~06年)では17会合連続で利上げを決定し、わずか2年で政策金利を1%→5.25%まで引き上げましたが、今回は0.25~0.50%という超低金利のまま、1年も追加利上げを見送りました。
見通しでは、2017年中に3回の利上げを中心シナリオとし、引き締めペースの加速を見込んでおります。
足元の米経済成長率は7~9月期に2年ぶりの高さ、失業率も11月には9年ぶりの水準まで改善され、物価上昇率も1.7%と目標の2%に近づいております。
市場はトランプ次期政権の財政拡張策で、来年の利上げペースが加速するとの見方があり、市場の見方に追随して利上げペースの加速を見込んだことで、金利上昇とドル高に拍車がかかる可能性もあります。
基軸通貨ドルを抱えるFRBの利上げは世界のマネーの流れにも影響します。
金利上昇で利回りが見込めるドルに資金が回帰し、日本は円売りが進みやすい地合いとなります。今回の利上げにより、大統領戦前に比べ円は15円以上円安となった為替も今後さらに円安が加速するかもしれません。
一方で緩和マネーが集中していた新興国は、資本流出や通貨安のリスクに見舞われます。
アメリカの利上げはアメリカ国内だけでなく、世界経済に大きな影響力を持ちます。FRBの手腕に注していきたいと思います。